Tast of Japan

Close Up Chef  小池 信也 Shinya Koike

Close Up Chef 小池 信也 Shinya Koike

Profile 在ブラジル・サンパウロ日本料理「藍染」「酒蔵阿吽」オーナーシェフ


Interview


Q:ブラジルに来られたきっかけは?
A:36歳の時に料理人の先輩がブラジルにお店を出店するということで誘われまして、まずは調査や準備などから入りましたが、その先輩は出店をあきらめて私だけブラジルに残り、以来20年以上ブラジルで料理人をしています。
Q:ブラジルならではの食材や工夫していることは?
A:実はブラジルの特にサンパウロなどでは、日本野菜(現地生産)が多いです。しかし、お魚の種類が少ない。
そして日本食がある程度定着してきたのも最近のことですが、限られた種類の同じようなお魚しか入手できないため、お刺身などは下処理の仕方、調理の仕方で旨味が増したり、歯ごたえを変える工夫をしています。
Q:食材や調味料などでブラジルでの問題は?
A:本物のちゃんとした醤油が少ないです。
価格的に現地製の醤油が売れて普及していますが、現地製の醤油ではやはり煮魚などの味が再現できません。
あとは、昆布や鰹節を使った本物の出汁を使うお店が少ないです。
もともと出汁というものの認識がまだまだない国ですが、やはり品質の良い昆布や鰹節がなかなかブラジルに入って来ないところが問題ですね。
今後期待したいところです。
Q:今後やって行きたいことは?
A:今のブラジルでの日本食ブームはまだまだ寿司、刺身が中心ですが、今後はもっと日本食全般の奥深さなどを広めて行きたいです。
そのためにも現地の料理人の人材育成に力を注ぎたいと思っています。
職人のレベルを上げて行くことと、それを認めてもらえる土壌も作って行きたいです。
変な言い方ですがお客様も育てる。
本物の日本食の味や技術を理解してくれるお客様が増えれば職人の技術が出せる場が増えるという2つの輪を同じような大きさで広げて行きたいと思っています。
そしてそれが日本食の真の普及に繋がると思います。
リオに新しいお店を9月にオープンする予定ですが、まさに調理場が見えるような内装にしており、「日本食ってこうやって作っているのか」と見てもらえる場を作って行きたいです。
また嬉しいことに最近の現地若手料理人が寿司や刺身だけではなく日本食の真の奥深さを学びたいという人が増えています。
それに合わせてお客様も海外に出てちゃんとした日本食を食べて帰ってくる方も多くなっています。
その両方で日本食が普及する裾野が広がって行くことを期待しています。
あと海外で活動している私としては今回のイベント(Taste of Japan in Rio de Janeiro)のように日本から料理人に来てもらって、実際にブラジルの方々に見て、体験してもらえる場を作って行きたいです。

Q:20年以上のブラジルでの活動でご苦労した点などは?
A:20年前はサンパウロの中にある日本人街など限られた一部にしか日本料理店はなく、非常に少なかったです。
当時はいわゆる日本からの移民の方々がやっておられた、日本人から見ると少し偏った日本食レストランはありましたが、自分としては現代の日本のレストランをこのブラジルでやりたかったです。
ただブラジルの人々から見ると、その移民の方々が古くからやられいたものとは違うため、私の料理が日本食であるいうことがなかなか理解されにくかったです。
Q:ブラジルの方々の日本食に対する反応は?
A:ブラジルの方々は基本的に日本との距離も遠く、本物の日本食をあまりよく知らない傾向にあります。
これまで現地にあった少し偏った日本料理やブラジル人が作る変わった日本食を食べて、それが日本料理と理解していることが多いです。
ブラジルの特色として古くからの日系人が多いため、おばあちゃんが作るいわゆる家庭料理の味がベースにあり、私たちのような料理人が作る日本料理はおばあちゃんの味と違うので、日本料理ではないと思われてしまっていました。
また日本の文化そのものを知らない人が多いので、ブラジル人が商売のために作る日本的な料理(餃子や焼きそば、シメジのバター焼きなど)を日本料理だと思われているケースが多くあります。
あと、味の濃いものが好まれます。特に塩味が強く、私たちのような料理人が作る日本料理の味付けは薄く感じられることが多かったです。
ブラジルでは基本的に生で食べる文化がないので、寿司を揚げたり(天ぷら)したりするお店もあります。
「すしカリオカ」という言葉もあり、生ではなく揚げてしまって火の通ったお寿司などのことを言います。

Profile


在ブラジル・サンパウロ日本料理「藍染」「酒蔵阿吽」オーナーシェフ
平成28年 農林水産省「日本食普及の親善大使」に任命
ブラジル和食普及委員会委員長
有名グルメ雑誌「ベージャ・サンパウロ」誌が選んだ最優秀和食レストランに選ばれた実績を持つブラジルを代表する日本料理人。
日本の食文化を伝えながらブラジル人の日本食需要を広げていくことを使命とし、正統派の日本料理も提供しつつ、ブラジル全土の食材を駆使した創作料理の打ち出しにも高い評価を得ている。1957年生まれ、東京都出身