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薬味: 体に良い調味料

薬味: 体に良い調味料

ひとつまみのおろしショウガ、小皿に盛られたネギの薄切り、ユズの皮のすりおろし――これらはすべて薬味の一種です。薬味とは、さまざまな種類の調味料のことで、麺や鍋物などの料理に添えられます。

体をおいしく癒す


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薬味は料理に直接入れたり、漬け汁に混ぜたりすることで、風味やアクセントが加わります。さらに薬味は、健康への効果も期待して用いられています。

「薬」と「味」というふたつの字が組み合わさった言葉である薬味は、元々はさまざまな病に対する薬として使われていました。その中にはショウガのように風邪薬として用いられるものや、病み上がりの人の食欲を増進し、体力の回復を助けるために利用した香味などがあります。

薬味は料理の食材として、また栄養のバランスを取るために用いられると同時に、食べる人や料理人の好み、食事上のニーズ、美的感覚に合わせても選ばれていました。今日でも薬味は健康や料理の味を調えるのに欠かせないものと考えられています。

大根おろし


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大根は日本に古くからある最もメジャーな野菜のひとつで、江戸時代 (1603–1868) からよく利用されてきました。種類も多く、長さ20–35cm、直径5–10cmにまで成長します。

ビタミンA、B1、B2、Cを多く含み、食物繊維、カルシウム、鉄分も豊富です。生の状態のものや、干したもの、漬物などを使用します。すべての部分を食べることができますが、多くの人は長く白い根の部分だけを食用にします。

大根は消化を促進すると考えられており、よく天ぷらなどの油物に添えて出されます。民間療法では抗炎症薬や消毒剤として用いられ、昔は好んで風邪薬に使用されました。

ショウガ


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ピリッとしたショウガは、料理の味を引き締め、風味を加えます。ショウガは根茎部分を利用します。料理の味を良くし、食品を長持ちさせ、消化を助ける働きがあり、家庭では風邪薬としても用いられます。さらには唾液の分泌を促して食べ物を飲み込みやすくし、消化を助けます。漢方薬では痰を和らげ、血行を良くするためにショウガの温熱効果が利用されます。

生のショウガをすりおろしたものは、よく冷奴や揚げ豆腐に添えられています。冷奴の場合はその冷たさを和らげ、揚げ豆腐の場合は油の消化を助けます。昔から寿司の薬味として使われてきたガリ(ショウガを薄切りにして甘酢に漬けたもの)には天然の抗菌作用があると考えられており、口の中をさっぱりさせる効果もあります。

ネギ


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香り高い薬味としてアジアで長く愛されてきたネギは、ビタミンC、カロテン、カルシウムを豊富に含みます。日本のほぼ全域で簡単に育てることができ、食欲を増進するつけ合わせとして、あらゆる料理でさまざまな方法で使われています。

小口切りにしたネギは、温冷問わず麺の上に散らしたり、風味や栄養を加えるために漬け汁に入れたり、豆腐とエノキの味噌汁にそっと浮かべたりとさまざまな方法で使用されます。また民間療法では、疲れや不眠症、炎症を改善し、血行を良くするために、風味と栄養があるネギをおいしく利用してきました。

シソ


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香り高いシソは寿司やおにぎり、ご飯など、あらゆる食べ物に利用されます。ビタミンA、B1、B2、Cに加えてカルシウムや鉄分も豊富で、食欲を高め、消化を促進する効果があるとも考えられています。新鮮なシソの葉はお弁当の仕切りとしても使われ、天然の殺菌作用で食べ物が傷むのを防ぎます。

赤シソは梅干しの主要な材料のひとつです。梅干しの熟成期間中に、その鮮やかな色が梅の実に移ります。梅干しの完成後に赤シソの葉を乾燥させて粉末状にすると、風味豊かなふりかけになります。

ミョウガ


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ミョウガはショウガの仲間で、ショウガに比べると刺激の少ない味をしています。日本に自生する多年草で、花穂と若芽の部分のみが食されます。薄切りにしたものを豆腐や麺、天ぷらの上にのせたり、味噌汁に入れたりして利用します。

食物繊維、鉄分、カルシウムに加えてビタミンC、B1、B2、B6が豊富に含まれるミョウガには、消化を促進する作用もあります。一年中手に入れることができますが、自然の状態での収穫期である6月と7月に最も香りが強くなります。3世紀という昔から、ミョウガは暑い夏場の体力やスタミナの維持に有効だと考えられてきたのも、そのためかもしれません。

ワサビ


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日本原産の野生植物であるワサビは、渓谷の清流で育つのが理想とされ、10世紀頃から栽培されています。葉も食べることが可能ですが、おそらく最も有名なのは根から作られた練りわさびでしょう。寿司の薬味として利用されるほか、そば、うどんまで、あらゆる料理に添えられて食卓に並びます。ワサビの漬物や、ぴりっと辛い粉末をピーナッツにかけたわさびピーナッツなどは、ビールや日本酒のおつまみにもぴったりです。

民間療法では、ワサビの温熱効果と鼻づまりの改善効果が、風邪の症状を緩和するために利用されていました。ビタミンB6、ビタミンC、カルシウム、鉄分、マンガンが豊富なワサビには天然の抗菌作用があり、寿司では生魚と酢飯の間に使われています。また、大腸菌の増殖を抑える働きがあるとも考えられています。

ユズ


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日本に自生する柑橘類であるユズは、レモンやライムに似た独特の香りがあり、さまざまな熟成段階のものが多くの料理に好んで使われます。皮を細かくすりおろして唐辛子と混ぜ合わせたゆず胡椒はぴりっと辛く、温かい麺のスープや冷たい麺の漬け汁によく入れられています。冬至にはゆず湯に入る習慣があり、ユズに含まれる高濃度のビタミンCで免疫力を高めます。果汁を醤油と合わせると、風味豊かなポン酢が出来上がります。はちみつと混ぜたゆずはちみつは、お茶の代わりとなるヘルシーな飲み物として利用されています。