Hitachino Beer & Wagyu
639 Post St San Francisco, California 94109
(415) 624-3580
http://www.hitachinosf.com
https://tasteofjapan.maff.go.jp/jp/restaurants/detail/?id=2824
世界を渡り歩いた杉江シェフが出身地、茨城の名産を取り入れ、2017年にサンフランシスコのダウンタウンにオープンしたHitachino Beer & wagyu。日本の地ビールと和牛を使ったメニューを中心とした“パブ”メニューが楽しめるお店である。客層はダウンタウンのホテル街が近いということで、観光客やローカルの客が多く来るという。
茨城県出身の、オーナーシェフ、杉江氏はもともと日本の調理学校でフランス料理を勉強したあと、21歳からフランス、オーストラリアと世界を渡り、アジアンテイストを加えた独自の創作料理をニューヨークの高級ホテルのシェフとして振舞っていた。その頃に出会った同じ茨城発祥の地ビール、常陸野ネストビール。東京で常陸野ネストビールがレストランを開いた時にフードメニューを杉江氏がプロデュース。その縁で、同じくクラフトビールの発祥の地と言われるサンフランシスコで、日本のクラフトビールと茨城もう一つの名産である常陸牛を合わせた店舗、Hitachino Beer & Wagyuを立ち上げた。
常陸野ネクストは、木内酒造で作られた日本生まれのクラフトビールで、世界のコンテストで受賞を重ねている。日本らしさを追求し、赤米を使ったRedRice Aleや柚子を使ったYuzu Lagerなど独特なビールを始めとし、常時7種類、缶、瓶、ドラフトビールを用意している。Made in San Franciscoの強豪ビールと比べても、アメリカ人のビールファンの中では認知度が高く受けがいいのだという。
常陸牛を使ったWagyuメニューはもう一つの看板。近年、流通が良くなったことにより、アメリカでもWagyuが一つのブランドとして認知されるようになった。「牛肉を食べる文化を持つ場所では自然な流れ」と杉江氏はいうが、特に近年、和牛のステーキ以外での食べ方も受け入れられるようになりつつあるのだという。「トリュフ、キャビアやフォアグラと並ぶ高級素材でありながら、それだけでメインになれるものがWagyuだと思う」という杉江氏。「豚肉や、鶏肉だとそこまでにはなり得ない」のだという。特に常陸牛の脂身には旨味成分が多く、あっさり食べられるのだという。コースメニューの一つ、常陸牛の握りでその上品さを体験できる。常陸牛を一頭買いをし、“Head to Toe”つまり、「頭からつま先まで」全てを使い切るというコンセプトのもと、アメリカの牛肉ではあまり一般的でない部位、はらみ、肩、ランプなど、和牛の柔らかさがあるからこそ美味しく食べられる部位を紹介したいのだという。それぞれの部位にあった調理法を研究しメニューを生み出していくのだという。例えば、肩肉の硬い部分でも、甘露煮や丼ものに、ミンチにしてダンプリングにし、ランプの赤身は生でタルタル、もしくは半生でと、それぞれの部位に特化したメニューが並ぶ。「うちはステーキハウスではないので」と杉江氏はいうものの、もちろん、和牛ステーキを味わうこともでき、常陸牛の食べ比べをしにくる食通もいるのだという。
高級素材Wagyuを扱いつつも、Hitachino Beer & Wagyuの基本スタンスはあくまでもビールバー。ビールとそれに合う「つまみ」料理が基本。「ビール一杯からでもぜひ」と杉江氏がいうほど、カジュアルに「気軽にいっぱい飲める場所」だそうで、丼物や麺類のようなメニューの中に「実は和牛が入っている」というぐらいの感覚なのだそうだ。さらに和牛を使っていない日本的バーメニューも多く、旬な野菜を使った料理から海鮮物まで多くを取り揃えている。和牛以外にも日本らしさを出すために、特に調味料、塩、味噌、醤油、柚子胡椒、ワサビなどは日本のものを使っているのだという。と同時に、月替わりの常陸牛を堪能できるコース料理もあり、記念日など大切な席にも使われたりするそうだ。
アメリカで受け入れられ始めているMade in Japanのビールと牛肉。これからのさらなる躍進が期待される。