Taste of Japan

代表的な日本産食材

うま味素材

日本食における主役級の名脇役

うま味とは何か

 いまや海外の辞書にも掲載されるほどポピュラーになった「うま味」という概念。その正体はグルタミン酸やイノシン酸などで、甘味、酸味、塩味、苦味に続く、人間の味覚をあらわすものです。
 1908年に科学者・池田菊苗がだし昆布からグルタミン酸を、1913年に小玉新太郎が鰹節からイノシン酸を抽出、1957年には国中明がシイタケからグアニル酸を発見しました。日本人が発見できたのは、これらの食材は和食の基本であるだしの素であり、味の決め手に塩味や酸味以外のものが存在するということを経験的に知っていたからだといわれています。

日本食の滋味深さには欠かせない「だし」

 和食の栄養豊富で美味しい味を生み出しているのが「だし」です。西洋料理におけるフォンやブイヨン、コンソメにも似ていますが、まず作り方が簡単です。フォンやブイヨンは肉の骨や野菜を数時間かけて煮出しますが、日本のだしは水に昆布や干ししいたけを浸すだけ、沸騰したお湯にかつおぶしを投入するだけの手軽さです。それなのに、だしを使用するかしないかで料理の仕上がりが大きく変わってしまいます。これはすべてだしの素材が持つ“うま味”成分のおかげです。
 また、かつおぶし、昆布、干ししいたけなどだしの素材は、料理や地方などによって使い分けられることも、和食が多種多彩のバリエーションを持ちながら、繊細で奥深い理由といえます。

うま味と日本の調味料

 だしのほか、和食づくりに欠かせないのが、醤油、味噌、砂糖、塩、酢の5つの調味料です。とくにうま味をふくむ醤油と味噌は日本独自の調味料です。製造過程で発酵させることで、うま味成分が生まれます。醤油と味噌は日本各地で作られていて、地方の特色が現れる調味料です。どちらも東日本では色も味もしっかりしたもの、西日本では色が薄くあっさりと上品な口あたりのもの、九州では甘みの強いものが好まれます。